国立群馬大学医学部で、現在3年生の約40人の留年が決まり、うち24人がある教授により留年を下されていたことが2022年10月23日の文春オンラインで発表されました。
ある教授とは服部健司教授のことで、医の倫理学」と「医系の人間学」を担当しているとのこと。
多くの教員が再試験や補講を行い留年する学生を減らそうとしているそうですが、服部教授はそれらはしないそうです。
授業を受ける学生は「アカハラ」で困っている人も多いようですが、そんな服部教授の評判や授業内容をお調べしましたのでご紹介します。
【画像】群馬大学の服部健司教授
服部健司教授は1959年東京生まれの現在63歳。
会社員の父と助産師の母の間に生まれたようです。
旭川医科大学医学部医学科卒業後、国立武蔵療養所精神科で臨床研修を受けたのち、早稲田大学第一文学部哲学科に学士編入学されています。
その後早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士課程を修了しています。
なんでもハイデガー、ニーチェ、シェイクスピアの講読をされているようです。
その後は関東健康管理センター診療所所長、横浜国立大学非常勤講師などを経て1999年から群馬大学医学部に着任しています。
専門は「医学哲学・倫理学」で、倫理学を実践哲学ととらえ、哲学的にものを観る力を養い医学・医療の哲学・倫理学的な諸問題と向き合うとありました。
服部健司教授の授業内容とは
服部教授は2022年から3年生が対象の「医系の人間学」の授業で医療をテーマにした即興演劇を取り入れ始めました。
医師 「内山さん,お加減いかがですか。」
患者 「はあ,先生。……あんまり変わりがないです。入院してよくなったかっていうと,そういうこともなくて。」
医師 「うーん,そうですか……。」
患者 「手や足に力が入らないし,ジンジンして,痛みもずっと続いています。」
医師 「……そうですか。」
患者 「先生,これはもう治らないんでしょう? はっきり言ってください。」
医師 「それはですねえ……今の時点ではなんとも。」
「はい、ここでストップ!」と止め、服部教授はこのシーンがどう思ったかを考えさせます。
医学的な思考に偏りがちな今どきの医学生にとって心情理解や一挙手一投足を見逃さない洞察力をつけるのが狙いだそうです。
自分がこの患者だったとして、術後の経過を医師に相談して上記のような返答が帰ってきたら、不安になりますよね。
素人からみたら医師と患者の信頼関係を作るための良い授業だと思いました。
服部健司教授の評判は?
服部教授の授業は厳しいで評判だと言われています。
毎回の授業後に考察などを書いて提出する「リアクションペーパー」と、学生自身の演劇のパフォーマンスだけで成績が決められ、試験も期末レポートもないとのこと。
演劇のパフォーマンスで成績が決まるのは学生から成績基準が抽象的と言われてしまうかもしれませんね。
厳しいと言われる服部教授の授業は皆まじめに受けているにも関わらず留年決定の40人のうち24人が明確な理由もなく単位を落としているようです。
服部教授はアカハラと言われる理由
アカハラとはアカデミックハラスメントの略で、大学や大学院などで教授と学生との間で地位を利用し相手に精神的・肉体的苦痛を与えることです。
ある学生いわく、実際の授業ではわずかなミスも見とがめられて留年させられてしまうため、恐怖でみな萎縮してしまっているそうです。
シラバスには期末レポートがあると書かれていたのに実際にはなかったとか。
また別の学生は「大学というのはそれぞれの意見を戦わせて議論する場だ」と言って、自分の意見を言ったら単位を落とされたそうです。
成績評価のコメントに「授業の進め方について教員に助言を行うという“勘違い”が何度も見られた」と書かれた人も複数人いたようです。
過去に大学からアカハラ認定も
2016年当時のカリキュラムには補講や試験があったそうですが、2017年に留年して補習を受けていた学生に対し
学び取る姿勢を感じられないから補習に参加しなくていい
とメールし試験も受けさせなかったことで、その学生はPTSDの診断を受けて現在は休学をしています。
2022年8月には大学を相手に損害訴訟を求める裁判を起こしています。
昔から癖の強い大学教授はどこにでもいますが、これを受けて服部教授が退任となるのでしょうか。
日本のシステム的に難しそうですね。